<第349回定例県議会が開会・補正予算案を上程>
新たな時代切り拓く挑戦のとき
兵庫ジャーナル 2020.06.09wrote

 第349回定例県議会が9日開会し、新型コロナウイルス感染症対策を中心とした令和2年度6月補正予算案が上程された。さらに全議員86人の総意として、議会費を約1億円削減し、新型コロナ対策に充てる関係条例の改正案が全会一致で可決した。県内の感染は小康状態にあり、感染リスクを抑えつつ、社会経済活動の回復を本格的に図る新たなフェーズに入った。長岡壯壽議長は、「今後、生き方も働き方も変貌し、これまでと異なった世界を生きることになる。議員として県民に一層寄り添わなければならない」と責務を強調。井戸知事は、「社会を単に以前の状態に戻すのではなく、今回の経験と教訓を踏まえて、地域の自主自立を基本とした地域主体の構造に変えなければならない。阪神・淡路大震災から創造的復興を成し遂げてきた兵庫県だからこそ、この新しいポストコロナ社会の創造に果敢に挑戦していこう」と呼びかけた。
 開会あいさつで長岡議長は、県民の尽力と協力に感謝の意を述べた上で、「学校は再開し、社会経済、文化活動などが動き出している。一方、第2波への備えを万全にしなければならない。農畜水産物の消費をいかに戻すか、観光産業をどう立ち上げるか、新たな生活様式『ひょうごスタイル』をどう根付かせるか、誰も対応したことのない取り組みを進めることになる」と認識を述べた。
 そして「2020年、新たに社会人となった若者は、授業、卒業、就職などで翻弄された。だが、選ばれた学年といわれ、日常を元に戻すだけでなく、より良いものに進化させる担い手として期待されている。『これからの世界は、あなたたちがつくる』と世界の指導者は呼びかけている」と若い世代を鼓舞した。
 次いで提案説明に立った井戸知事は、新型コロナ対策について、「大きな痛みを伴ったが、まさに県民一丸となった取り組みが奏功し、新規陽性者数は着実に減少、6月1日にはすべての施設の休業要請を解除した。しかし、感染症との戦いはこれで終わったわけではない」と気の緩みを警戒した。
 本県経済については、「多くの事業者が厳しい状況におかれ、雇用環境の悪化も徐々に顕在化し始めている。感染防止対策を行い、事業者の経営継続を支え、新たな需要を喚起し、一刻も早く地域経済の元気を取り戻さなくてはならない」と緊急経済対策の必要性を強調した。
 さらに、新型コロナの感染は、「人口の稠密という大都市の脆弱性、そして東京一極集中の課題を改めて露呈した。人々の働き方や暮らし方、医療や経済活動のあり方など、現代社会に多くの課題を突きつけた」として、次なる課題に対し、果敢に挑戦することを表明した。
 また、今後の財政運営については、「地域経済に大きな打撃を与え、今後の財政運営に大きな影響が懸念される。令和元年度決算は、時期的に新型コロナの影響はほとんどないものの、米中貿易摩擦に起因する中国経済の不活性など企業業績の伸びが鈍化し、県税収入が伸び悩んだため、実質収支、実質単年度収支とも、黒字額は前年度をかなり下回る」と見込んだ。
 そして「内外の企業業績への影響が徐々に明らかになる。税収動向に十分注視し、できる限りの適切な行財政運営を推進する」と方針を語った。

 この日、関係条例案を全会一致で可決した県議会の新型コロナウイルス感染症対策への協力方策は、今月支給される期末手当(ボーナス)を15%約2、800万円カット、政務活動費も7月から来年3月までの9カ月間15%約5、200万円削減、その他、海外渡航、常任委員会費など条例改正以外の議会運営費も2千万円減らし、総額で約1億円を捻出、有効活用を知事に求めるもの。
 提案説明に立った松本隆弘議会運営委員会委員長は、「県議会新型コロナウイルス感染症対策調整会議を4月10日に設置し、議会の役割を踏まえ、一体となって迅速かつ的確に対応できるよう取り組みを進めてきた。その中で、知事当局がさらなる感染症対策を講じるに際して、議会としてどのような協力ができるのか、検討を行うことを決め、各会派代表者会議で協議を重ねた結果、無所属議員を含めた全会一致での合意を得た」と、これまでの経緯を説明し、議会費削減で生み出された約1億円の財源をコロナ対策に生かされるよう要請した。
 その上で、「県議会として引き続き、県当局と連携・協力し、県民の命と健康、生活を守るため、全力で感染症対策に取り組む」と表明した。
 12日には、代表質問で自民・岡つよし(2期・加古郡)、県民連合・中田英一(2期・三田市)、公明・越田浩矢(3期・神戸市長田区)、維新・岸口みのる(4期・明石市)の4会派4議員がコロナ対策などの見解を質した。
 15日は、一般質問で橘秀太郎(自民・1期・美方郡)、迎山志保(県民連合・3期・加古川市)、竹尾ともえ(公明・1期・西宮市)、きだ結(共産・3期・神戸市東灘区)、原吉三(自民・8期・神戸市中央区)の5議員が登壇する。

 県は今年に入り、新型コロナの中国での感染拡大、国内でも患者が発生する中、2月定例県議会に入院医療・検査体制の強化を盛り込んだ約5億円の補正予算案を上程。3月1日に県内初の感染患者が確認され、クラスターも発生、再度、約27億8千万円の補正予算を編成し、感染拡大防止、県民生活の安全確保等を進めた。
 そして4月7日に政府が緊急事態宣言、県内においても感染がピークを迎え、臨時議会を招集し、約3、916億円にのぼる補正予算案を上程、緊急対策に取り組んだ。
 その後、新規陽性者数は着実に減少し、5月21日に緊急事態宣言の対象から除外された。
 このように県では、発生早期、感染ピーク期などフェーズに対応した機動的な予算編成を行ってきた。
 今議会に上程された補正予算案の規模は1、120億6千5百万円。第2波への備えや、社会経済活動の本格的な再開のための需要喚起、新しい生活様式への対応を図るため、@医療提供体制・感染拡大防止対策等のさらなる充実、A地域経済の活性化・地域の元気づくり、Bポストコロナ社会を見据えた兵庫の基盤づくりを柱に編成された。加えて緊急に措置すべき事業として豚熱の侵入防止策を盛り込んだ。
 財源は、国の補助事業に伴う国庫支出金、新型コロナ対応地方創生臨時交付金、感染症緊急包括支援交付金などの財源措置を最大限に活用した。
 5日、予算案を発表した金澤副知事は、「これから社会活動レベルを徐々に高め、ひょうごスタイルのもと、従来の活力ある兵庫を取り戻す歩みを進めるため、今が非常に大事な時」と説明した。