自動録音機能付き電話機 高齢者の購入を県が全額負担
令和6年度 特殊詐欺撲滅へ専門官配置

2023.12.4

自動録音機能付き電話機で犯人役からの電話を受ける斎藤知事(左)

 知事を本部長に県と県警で構成する特殊詐欺集中対策本部の第1回会議が11月29日、県庁で開かれた。過去最悪のペースで増加する特殊詐欺の被害に歯止めをかけるため、自動録音機能付き電話機の購入に最大1万円を県が単独で補助する事業を打ち出した。外付け録音機には最大5千円を補助する。機器の実勢価格はほぼ同額で、実質無償で手に入るのが特徴。斎藤知事は「思い切った対策が必要と判断した。まずは被害を半分近くまで減らす目標を定めたい」と強い意気込みを示した。
 令和5年の特殊詐欺認知件数は10月末現在で県内1026件、被害額は約16億4千万円に上る。前年同期比で185件、3億6千万円増加。相談件数は10月時点ですでに昨年件数を1080件上回る6108件を数え、過去5年間で最多となっている。
 ネットのサイト使用料未払いなど架空の請求を送りつけたり、医療費が返還されるなど還付手続きを装う手口が多発しており、神戸・阪神地域の発生が約8割を占め、被害者は65歳以上が77%と高齢者が狙われている。
 県は犯行の手段に固定電話の使用が多いことに着目し、着信時に録音を告げるメッセージで警告する電話機のさらなる普及に乗り出すと方針。機器の購入費を県・市町・本人で3分の1ずつ負担する現行制度を見直し、県が全額負担する。予算は13億円を充てる。実施主体は市町で、対象は65歳以上。補助件数は延べ13万台を想定している。
 一方、多様化する特殊詐欺の手口や対策をさらに周知するため、講習会などの普及啓発を展開。これらを合わせた予算は計15億円と過去最大で、全国でも類を見ない規模という。12月補正予算案に盛り込み、12月1日に開会した第365回定例県議会に上程された。
 対策本部で斎藤知事は、市町に協力を求めつつ「来年度の組織改正で県民生活部内に特殊詐欺対策の専門官を配置し、老人クラブや婦人会への啓発など福祉部とも連携してオール兵庫で取り組む」と決意を語った。