「空飛ぶクルマ」第1回ひょうご会議開く
重点3エリアで可能性探る
飛行ルートが決定 夢洲~尼崎間

2023.9.4

社会実装までのロードマップが示された空飛ぶクルマのイメージ図(経済産業省提供)

   2025年の大阪・関西万博で県内での飛行実現をめざす「空飛ぶクルマ」について話し合う第1回「次世代空モビリティひょうご会議」が8月31日、県庁で開かれた。斎藤知事はじめ県立大教授らの学識者、航空業界などの事業者、国土交通省航空局職員のオブザーバーら計約30人が出席。万博での運航を生かして、その後も観光、医療、災害時の運搬などに活用する可能性を探った。
 万博では、会場(夢洲)と尼崎市南部にある「尼崎フェニックス事業用地」との間で「空飛ぶクルマ」の運航が予定されている。
 会議は、「空飛ぶクルマ」が新たなサービスの展開や地域課題の解決も期待されることから、実現への気運を盛り上げるのが狙い。最初に斎藤知事が「新しいモビリティ(移動能力、機動性)を県内で展開することが大事。神戸空港の国際化などこれからの大きな流れにしたい。官民連携の大きなキックオフです」などとあいさつした。
 研究者による「空飛ぶクルマの現状」の講演もあり、ヘリコプターと比べた特長に「都市内など狭い場所で離着陸可能」「大量生産などで低運賃」「自動操縦などで運転が簡単」「道路も走る」などを挙げた。県の事務局からは、想定される利用として、「観光・レジャー」「都市間や山間部・離島を結ぶ地域の移動手段」「救急医療・災害対応」が挙がった。地域では、大阪湾・阪神間エリア、瀬戸内・播磨エリア、但馬エリアの3エリアを重点にする方針が示された。
 意見交換では、「離着陸時は風が吹くので人が近づかない場所が必要」「騒音も出るので場所、土地は自治体が用意する方がいい」「民間の工夫や競争は必要だ」などの声が出た。斎藤知事が最後に「現実的に何をやっていけるかが大事だ」と締めくくった。
 大阪・関西万博で予定している「空飛ぶクルマ」の飛行ルート(夢洲~尼崎間)について県は8月30日、日本国際博覧会協会から候補に選ばれた、と発表した。ルートは直線距離で約3㌔。丸紅が運航事業者で、英バーティカル・エアロスペース社の5人乗り機「VX4」を予定しているという。