拉致問題考える国民のつどい
被害家族「解決見届けたい」悲痛な訴え
神戸で開催

2022.01.13

問題解決を訴える被害者家族の有本明弘さん

 北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決をめざす「拉致問題を考える国民のつどいin兵庫・神戸」が18日、神戸市中央区の県公館大会議室で開かれた。政府拉致問題対策本部と県、神戸市が主催し、約200人が参加した。
 神戸市では平成25年2月以来8年ぶり2度目。今回はコロナ禍の影響で当初の2月の予定から10カ月遅れての開催となった。
 主催者あいさつで、拉致問題担当大臣を兼ねる松野博一内閣官房長官は「拉致問題は岸田内閣の最重要課題。必ず解決します」と決意を述べた。続いて斎藤知事は「拉致は重大な人権侵害。若い人にも関心を持ってもらえるよう啓発ビデオを作製している」と話した。
 神戸市出身の拉致被害者有本恵子さんの母で昨年2月に亡くなった嘉代子さんを偲び、明弘さんとの夫妻によるビデオメッセージが流され、夫妻が中学生に送った手紙を高校生が朗読した。続いて明弘さんが登壇し、「家内の分まで生きて、拉致問題解決の結末を見届けたい」と訴えた。
 拉致被害者家族として横田めぐみさんの弟の哲也さんや、特定失踪者家族として秋田美輪さんの姉の吉見美保さんによる訴えもあった。
 最後に龍谷大教授の李相哲氏が「拉致問題はなぜ解決しないのか」と題して講演。李氏は「北朝鮮は犯罪で生計を立てており、公開処刑など人権がない国家」と非難し、拉致問題解決に向けて「国際社会がやるべきは人権問題。日本は人権外交を後押しし、強い意思を見せる必要がある」などと述べた。