<第350回臨時県議会 コロナ対策補正予算を可決>
地域の声代弁する責務果たす

2020.07.27

 県は新型コロナウイルスの「次なる波」に備えた①感染症対策の充実・強化②地域経済の早急な活性化・地域の元気づくりを基本方針とし、制度の詳細が判明した国交付金などを活用して、6月定例会で成立した補正予算を補完する令和2年度7月補正予算案を編成。7月27日に第350回臨時県議会を開き、全会一致で原案通り可決した。
 今議会は昭和22(1947)年5月の第1回定例議会から通算350回の節目を迎えることから、閉会あいさつで原テツアキ議長は、コロナ禍における時代の一大転機であるとして、「兵庫県は社会文明の危機に、課題を受け止め、先駆的な役割を果たしてきた。この節目の議会を機に議員一人ひとりが県民の生命と生活を守るため、地域の声を的確に代弁し、県政に反映させる原点を忘れてはならない。ポストコロナ社会を県民とともに創り上げるため、二元代表制の一翼として全力を尽くそう」と呼びかけた。井戸知事は「創造的復興を成し遂げた兵庫県には、新たなコロナ社会を創造する自力と責務があると確信する。議会は地方分権を先導する推進機関であり、五国各地域の代弁者としての役割を担っている。車の両輪として議会と緊密に連携し、日本を先導する兵庫づくりに取り組む」と訴えた。
 県の新型コロナ対応補正予算は5度目、総額で5、542億4千億円にのぼる。今回7月補正予算の規模は473億3千万円となった。
 提案説明に立った井戸知事は、「新規感染者は、ほぼ収束していたが、再び増加に転じた。地域経済の低迷も長期化している。県内事業者は感染防止に取り組みながら経済活動を再開しなくてはならない」と緊急対策の必要性を強調。
 入院医療体制については「1日あたり新規患者55人を想定したフェーズを感染拡大期2として追加し、計650床を確保する」と報告した。
 続いての質疑では、自由民主党・戸井田ゆうすけ、ひょうご県民連合・木戸さだかず、公明党・県民会議・小泉弘喜、維新の会・門隆志、日本共産党・いそみ恵子、無所属・丸尾牧及び中島かおりの7議員が登壇した。
 戸井田議員は、「感染症対策も社会経済活動の拡大も、両方とも大切であり、両立しなければならないジレンマがある。それでも終息するまで、この困難な局面を切り抜けていかなければならない」と現状認識を述べ、補正予算に込めた知事の思いを問うた。
 井戸知事は、「第二波は目前に迫っている」とし、医療・検査体制の強化など「危機感を持って対応するための予算」と位置づけ、地域の元気づくり対策を説明した。
 その上で、「何としても感染拡大を止め、一日も早く地域経済の活力を取り戻す必要がある。そのために、二次感染の封じ込め、クラスター源となり得る施設への出入りの注意を呼びかけている。補正予算の執行と相まって全力を尽くす」と訴えた。
 PCR検査体制の拡充についても質問が相次いだ。木戸議員は神戸市内の中学校で検査対象外とされた生徒から症状が出て、検査の結果陽性が判明したことから、「クラスター化が懸念される学校等での検査のあり方」を質し、いそみ議員は「市中感染が広がった地域は、全ての住民を検査対象にすべき」と求めた。
 藪本訓弘健康福祉部長は、現在、PCR検査が1日最大1、190件の処理が可能で、今後、機器の整備促進で1日2、500件の検査体制を構築することを報告。検査対象についてもクラスター発生の懸念のある場合は、濃厚接触者ではなくても検査するなど幅広く拡充する方針を示した。
 感染症対応従事者慰労金については、小泉議員が「対象者が安心してもらえるよう、制度周知のあり方、支給スケジュールは」と質問した。
 井戸知事は、「施設への個別周知やホームページの活用など、きめ細かな広報を行う。8月の早い段階から申請できるよう、準備を進めている」と説明した。
 門議員は児童養護施設における感染防止対策の補助について、施設の規模に大小があることから、「費用の上限が一律なのはどのように理解すればよいのか」と疑問を呈した。井戸知事は「実際の支給は各施設の実績により、柔軟に対応する」と答えた。
 また、観光誘客の促進を図る「Welcome to Hyogoキャンペーン」の必要性と考え方についての質問も多く出た。
 井戸知事は、宿泊施設の感染防止対策を支援する「ひょうご安心旅」の推進、旅行者に対しても旅のエチケットを呼びかけるなど、「感染防止対策と観光振興が両立する兵庫スタイルを確立する」と語った。