<感染症に対応した避難所運営>
県ガイドラインに基づき市町防災職員が研修

2020.06.26

 県は、自然災害と感染症との「複合災害」に備え、6月1日に「新型コロナウイルス感染症に対応した避難所運営ガイドライン」を策定した。「避難所で集団感染(クラスター)を発生させない」「避難所での感染を恐れて避難行動・安全確保行動をとらず、犠牲になることを防ぐ」の2つを目標に、タイムライン形式で市町の実施事項・留意点などを整理している。
 このガイドラインの内容を熟知し、適正な避難所運営を行うため、市町職員を対象とした研修会が6月24日午後、神戸市中央区の県立のじぎく会館で開かれた。各市町の防災担当職員ら約50人が参加し、人と防災未来センターの研究員らの指導を受けながら、3密を避ける対策など感染症に対応した避難所の開設・運営手順等を確認した。
 まず、県災害対策課の職員、人と防災未来センターの研究員からガイドライン、避難所における衛生管理などの説明を受けた後、模擬避難所の開設に取り組んだ。ホール内で避難者の居住スペースを設営するグループと、ホール入口で受付を設営するグループに分かれて実施。
 ホール内では、床に区画テープを貼り、ダンボールベットなどを組み立てた。ガイドラインでは、身体的距離をできるだけ2メートル、最低でも1メートル確保、一人あたりの居住面積は3平方メートル以上と設定している。
 発熱・せきなどの症状がある体調不良者は、別室の専用スペースを確保することにしているが、今回の研修ではホール内で一般避難者と動線が交わらないようにゾーニングし、カーテンなどで一人ひとりを間仕切りしたスペースを設置した。
 受付では、健康チェック問診票を記入するスペースを設け、離れた場所に健康チェック窓口、その後方に一般避難者と体調不良者とを分けた受付を設置。健康チェック窓口で職員が検温し、問診票をもとに健康状態を確認、一般避難者もしくは体調不良者の受付へと誘導する。
 身体的距離の確保、2つの受付へ向かう動線のレイアウト、消毒液等の衛生資材の数が足りているかなど、職員同士が話し合いながら設営した。
 開設準備が整い、避難所スタッフと避難者役に分かれてロールプレイにより運営を実践した。
 健康チェック窓口担当の職員は、「ここで間違えると大変なことになる」と緊張した面持ち。避難者役の職員は地域住民の視点に立ちながら、避難者を誘導する手順、注意点などを確認していた。
 終了後には各職員が感想を記入し、これをもとに意見交換を行った。「今まで以上に衛生管理を強く意識して取り組まなければならない」「自分自身の感染症対策が重要」といった心構えの大切さや「各避難所ごとに受付手順をイメージしておきたい」「設営の時間がこれまで以上にかかるので、訓練をしておくべき」など今後に備え、必要なポイントが示された。
 同センター研究員は「今回の体験をそれぞれの市町に持ち帰って話し合い、実情に合った対応を考えて欲しい」と呼びかけた。