令和初(うい)の1月17日、阪神・淡路大震災から丸25年を迎えた。創造的復興をめざした四半世紀の星霜と歩みに思いを馳せ、鎮魂の空気に包まれた。地震発生の午前5時46分、県庁では井戸知事をはじめとした県幹部が震災犠牲者に黙とうを捧げた。訓示に立った井戸知事は「日常生活の中で備えが自然と行われる災害文化を確立する決意で臨む」と被災地の責務を強調。この後、幹部それぞれが25年前の震災経験を語り、井戸知事が県職員の経験、教訓を文集としてまとめることを求めた。
秋篠宮皇嗣同妃両殿下のご臨席を仰ぎ開催された追悼式典及び「ひょうご安全の日のつどい」では、遺族代表が「災害の苦しみにいる人を助け上げる社会を作り上げてこれたでしょうか」と自問し、「沢山の犠牲から学び、備えるならば、命を守ることは必ずできる」と訴えた。そして「1・17ひょうご安全の日宣言」として「令和の時代が希望の時代になることを願い、新しい時代を災害で特徴づけてはいけない。災害を他人事と考えず正視して対処することが大切だ」とのメッセージを内外に発信した。
午前11時45分から、県公館とHAT神戸の両会場を映像でつなぎ開催された阪神・淡路大震災25年追悼式典には、計4400人が参加した。
震災の年、平成7年に生まれた若者が追悼の灯りを献灯し、長岡壯壽県会議長が開会の辞、黙とうに次いで井戸知事が式辞に立った。
井戸知事は、「21世紀の成熟社会を見据えた創造的復興をめざし、一丸となって努力を重ねてきた」と振り返り、高齢者の見守り、こころのケア、ボランタリー活動の支援をはじめとした先導的な取り組みや住宅再建共済制度などの新たな仕組みが生まれたことを強調した。
そして「安全安心な社会を築き、その基盤の上に、 人と地域の未来に夢や希望が広がる『すこやか兵庫』の実現に全力を尽くす」と表明した。
この後、秋篠宮皇嗣殿下が「震災の知見が国の内外に広がり、世代を越えて継承されることを」と述べられた。
政府代表の赤羽一嘉国交相らは安全安心の国づくりに総力をあげることを誓った。
妹を亡くした遺族代表の松本幸子さんは、「亡くなられた皆様のことは決して忘れません」と述べ、人と防災未来センターの語り部として震災経験を伝え続けていることを祭壇に向かって報告した。
小、中、高校生が県民のことばを発表、「自分たちの力で未来を創っていくために、今、生きていることに感謝し、これからも精一杯、生き抜いていきます」と次代を担う決意を語った。
また、震災直後を思い起こし、防災意識を高めるため毎年実施されている「1・17メモリアルウォーク2020」には、約3900人が参加した。東西2ルート6コースに加えて、今年は被災地の児童生徒による「子ども・若者ウォーク」も行われた。
ゴール地点のHAT神戸周辺では防災訓練や経験、教訓を伝承するステージイベント、展示などで、防災・減災を実践する大切さを確認した。