<第346回定例県議会・知事提案説明・代表質問>
"創造的復興"を礎に未来へスタート切る

2019.12.13

 第346回定例県議会が3日開会し、職員の給与改定に伴う補正予算案など議案34件が上程された。井戸知事は提案説明の冒頭、県内河川の台風19号豪雨を想定した概算シミュレーションを行った結果、集水域の大きい流域をもつ河川では雨量が大量となり、氾濫する恐れがあることを報告し、「国の『防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策』の事業期間の延長、災害の教訓を反映した新たな枠組みの創設、十分な事業費の確保などを求めていく」との方向を示すとともに、「引き続き要支援者の避難対策を強化する」と激甚化、頻発化する自然災害への備えを強調した。
 沖縄県の首里城火災について、「本県出身の島田叡元沖縄県知事をはじめ戦前戦後を通じた深い結びつきから、沖縄県の本土復帰とともに友愛提携を結び、青少年交流など絆を深めてきた。友愛県として、首里城の1日も早い再建を支援する」とし、「この火災を教訓に国・県指定文化財の災害予防体制の調査を実施する」と県内文化財の防火・防犯対策の徹底を明らかにした。
 また、阪神南県民センターと阪神北県民局の統合では、「管内の2市が中核市へ移行して10年が経過し、県と中核市との役割分担が定着してきた。一方、防災体制の確立などの広域的な行政課題が増加している」と状況を説明し、在り方検討委員会から「統合して阪神全域の地域課題解決力の向上を図るべき」との提言を受けたことを報告、「これを踏まえ、統合案の策定を進める」と理解を求めた。
 来年度の予算編成では、「令和2年度は、すこやか兵庫の実現に向けて、兵庫の未来を切り拓く新たな取り組みを進めていく年。財政環境は厳しいが、選択と集中の徹底による取り組みの重点化を図り、防災・減災対策、地域創生の推進、リーディングプロジェクトの推進など、県民の期待に応える施策を展開する」と方針を示した。

 第346回定例県議会は6日、自民・春名哲夫(3期・宍粟市)、県民連合・竹内英明(4期・姫路市)、公明・越田浩矢(3期・神戸市長田区)、維新・高橋みつひろ(2期・神戸市西区)の4会派4政調会長が代表質問に立った。
 防災・減災などの課題を踏まえた予算編成方針、次期地域創生戦略の策定などについて質した。井戸知事は「震災から25年。創造的復興を成し遂げ、行財政構造改革により収支均衡を達成した。その成果を礎に未来へのスタートを切る年」と令和2年度の目標を示した。9、10両日は一般質問が行われ、自民5、県民連合2、公明、維新、無所属各1計10議員が登壇した。
 自民・春名議員は、令和2年度当初予算を「防災先進県であり、大震災から25年を迎えた本県がどのような取り組みを進めるのか、東京一極集中の是正に向けた若者対策をどう進めるかなど、井戸県政5期目の仕上げにつながり極めて重要」と提起した。
 その上で、「新時代・令和においても『県民一人ひとりが、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる希望あふれる兵庫』の実現に向け、どのような方針と覚悟をもって臨むのか」と質した。
 公明・越田議員は「資源の集中投下で最大の事業効果を発揮する発想で地域創生に取り組む、選択と集中の言葉通りの施策展開が求められている」と主張した。
 「兵庫2030年の展望」リーディングプロジェクトについても「項目を絞り、資源を集中させて取り組む分野において大きな効果を出すことをめざすべき」と求めた。
 井戸知事は、令和2年度予算編成について、①災害への備えの一層の強化、地域医療の確保など安全安心な兵庫の構築②起業支援、農林水産業の基幹産業化など地域の元気づくり③五国の魅力を活かした観光、交通インフラ整備の加速など交流・環流の促進―の3つの柱を示し、「課題に対して果敢に挑み、県民とともに兵庫の未来を切り拓く」と意欲を示した。
 次期地域創生戦略については、「地域の個性や強みに着目した地域別プロジェクトに重点を置く」、また、「人やモノを呼び込む活力の源泉として五国各地域で展開する」とリーディングプロジェクトの基本方針を説明した。
 その上で、「地域創生戦略と展望リーディングプロジェクトは兵庫の未来づくりの両輪」と位置づけた。
 県民連合・竹内議員は、井戸知事が定例記者会見で、関西広域連合長の任期来年12月で退任を示唆したことについて、「広域連合の今後のあり方に大きく影響し、求心力の低下につながりかねない」と危惧した。
 井戸知事は、「(構成団体の長による)各委員のリーダーシップと連携で成り立っている。私以外が連合長になっても十分対応できる。プラスチックゴミ削減など新たな広域課題も生じており、今任期中、これまで以上に連携協力し、期待に応えられるよう、チーム関西の舵取り役として全力を尽くす」と意向を語った。

 13日には、議員提案により27年に制定した「中小企業の振興に関する条例」の改正案を可決した。自民・春名政調会長が登壇し、大規模災害が相次いでいることから、「被災した中小企業の復旧・復興、事業継続に県が先頭に立ち取り組む決意を示すもの」と説明した。
 さらに、県議会の公文書の管理に関する条例を可決。このほか、議案34件、意見書案9件などを可決し、閉会した。
 また、選挙管理委員会委員を議長指名により選んだ。新たに委員となるのは、元県議の石堂則本、小田毅、宮本博美、合田博一の4氏。

代表質問・主な質疑

一般質問・主な質疑