<県庁等再整備 検討委が素案を議論>
庁舎の耐震性と賑わい確保

2019.05.20

 県庁舎および県民会館などの再整備を中心とした元町山手地区のまちづくりの方向性について考える「元町山手地区再整備基本構想・基本計画検討委員会」の第3回会合が20日午後、神戸市中央区の県学校厚生会館で開かれた。今回、同県民会館部会と合同で開かれ、両部会の委員が参加。基本構想の素案について、県から説明を受けるとともに意見を交わした。
 素案では1、2号館と議会棟、県民会館、神戸県民センターを移転・新築し、新耐震建築物である3号館と災害対策センターは引き続き活用。敷地の広い1号館周辺に、議会を含む主要な行政機能を集約した新県庁舎を整備する。
 2号館と県民会館の跡地には、ホテルやオフィス、複合施設など民間施設を誘致し、にぎわいを創出するほか、文化拠点を整備する。県民会館は民間施設との合築を前提とした。
 また、県民センター跡地では、神戸市らとの協議による周辺環境と調和した施設整備を掲げる。
 整備は県庁舎から着手し、2030年度の全事業完了をめざす。
 開会あいさつで荒木副知事は「今後、方針を具体化した基本計画の策定に入る。より良い整備となるよう引き続き意見を」と求めた。
 議事では、まず、事務局が素案の概要を説明。耐震診断の結果、1、2号館と議場棟は防災拠点および公共施設として最低限必要な耐震性能が不足していることが判明したことから、県庁舎の耐震性能の確保を最優先課題にすることを伝えた。
 続いて、委員長の安田丑作神戸大学名誉教授を進行役に意見交換。県庁舎整備に関して、「職場環境が快適でなければ良い県民サービスも提供できない。職員の働きやすさを重視した設計に」との声が寄せられた。
 芸術文化の発信拠点機能も持つ県民会館の整備は、「機能的には今で十分。芸術文化は『先回りの福祉』でもある。整備によって、機能が豊かになることはあっても損なわれてはならない。合築ではなく単独整備も検討を」との意見があった。
 まちづくりの視点からは、「神戸市が進める三宮再整備との整合性や機能分担を図るべき」との指摘や、同市職員の委員からは「神戸のポテンシャルの向上にもつながるよう、市も共に進める」と連携した取り組みが求められた。
 県議会の小西隆紀副議長は、各派の代表らでつくる県庁舎等再整備協議会での意見を紹介。コスト削減の徹底や建替整備の必要性の県民周知などを挙げ、反映を要請した。
 最後に、事務局で企画県民部新庁舎整備室の日下部雅之室長は「頂いた意見をより良い基本計画につなげる」と述べた。
 県では今後、今回の意見などをもとに基本計画を今年度中に策定し、2020年度中に設計作業を開始、整備は設計作業が終わり次第順次、入ることとしている。