<2019県議選を振り返る記者座談会>
県議会勢力構成 新議会へ作業進む

2019.04.12

 統一地方選前半戦、兵庫県議・神戸市議選が終わり、後半戦の3市長選、1町長選、9市議選、3町議選は21日に投票される。それぞれ参院選に直結するものと見られ、各党では、各選挙戦で見えた課題などとともに引き続き臨戦態勢を敷く。一方、県議会では、会派構成に向けた水面下の工作が続けられている。自民党の過半数の確保をはじめ、各会派が選挙公約を踏まえて県政とどう向き合うのか、衆目が集まる。記者座談会でそれぞれの戦いぶりなどを総括した。

A 県議会では、17日に新議会での会派構成、任期中の委員会等の割り振りなどを決める新議会世話人会準備会が開かれる。関心事は、任期スタートまでに自民党が定数86の過半数の44議席を確保できるかだ。
 B 自民の公認・推薦当選者は38人。現在入団を見込める無所属議員6人に対する"勧誘"を続けているが、見通しは不透明な面もなくはない。選挙に至る経緯や複数選挙区では、所属議員の同意も必要だ。
 C 自民が選挙時の獲得議席で過半数を割り込んだのは、今回も含めて5回連続。例えば東日本大震災が発生した平成27年。定数89で42議席、3人の入団で45人に。前回は、定数87で当選者40人、無所属4人を加えて格好をつけた。
 A 過半数を制することの意義については温度差がある。「正副議長を独占することにどれほどの意味があるのか」というシンプルな見方だ。
 D 自民党の政策が県政の主要政策をなす、そこに政治のダイナミズムを見出すべきとベテランは指摘し、意識共有のための議論の場づくりを訴えている。
 A 他会派では、立民、国民など所属の議員で構成するひょうご県民連合は社民党籍の新人を含めて14議席で第2会派に復帰する見通しだ。
 C しかし、「立民躍進」とのメディアの見出しが見られたが、首をかしげる関係者もいる。平成19年に22議席、23年に20議席を確保した歴史もあり、喜びも半ばというところか。
 D 公明の13議席全員当選は、さすがの組織力だが、後半戦には阪神間で一部危機もささやかれた。大阪市議選東成区で4票差、京都市議選下京区で6票差で現職が敗れており、常勝関西に点睛を欠いた感もある。
 B 維新の会は、大阪ダブル選という戦略が図に当たった。支持率で、無党派層が第1党を上回るようになって久しいが、個人名より党名で選ぶ有権者の受け皿になっている。前回同様9議席を確保、神戸市会でも10議席。風頼みではなく、底力の定着を見せた。
 D 大阪ダブル選では、自民支持者の5割以上が維新に流れた。維新は自民から派生した経緯があるだけに、共産、立民との共闘に疑問を呈する階層をとらえたのでは。
 B 共産の伸び悩みは原因がよく見えない。自治法規定の議案提出権8議席、県議会会議規則の代表質問ができる6議席に及ばなかった。平成11年14議席、15年8議席を得た実績からすると頭打ちが続いている。
 A さて今回の選挙では15選挙区15人が無投票。県議選、神戸市議選ともに40%を割る史上最低の投票率。今回、70%を超えた地区はゼロだった。連動している感はあるが、「政権交代のような大きな話題がないと関心は盛り上がらない」との分析がある。
 C 無投票は選ぶ権利が失われたという疑義もあるが、「党派を超えて、4年間の活動への総括と見るべき」との指摘も一考に値する。
 B なり手不足の一因に待遇問題がある。厚生年金加入は公的財源の導入是非をめぐり頓挫している。議員が加入できるのは国民年金のみ。議員の専業化が進む中で、退職後の生活不安を訴える議員も少なくない。兼業制限の緩和措置なども必要ではないか。
 A 注目を集めたひとつに、養父・朝来合区による自民現職同士の一騎打ちがあった。特例選挙区の解消の結果であったが、両市の面積は、神戸、西宮、芦屋、尼崎、宝塚の合計に匹敵、議員数で41人にのぼる。
 D 一票の価値は最優先されるべきだが、地域代表の確保について新たな視点からのアプローチも必要ではないか。参院の合区解消を掲げる自民党憲法改正案に「党利党略」と冷ややかな指摘もあるが、今後の検討を待ちたい。
 C 「政治分野の男女共同参画推進法」が施行されて初の全国規模選挙。県会では13人(15%)、神戸市会は15人(22%)。党派を超えた女性議員の連帯、政策提案による前進を見たい。
 A 各党個別に特筆する事象を見ると、自民は公認推薦者は過半数に届かない43人。加古川、西宮などいわば不作為が見られた。今後に課題を残した。また、自民の看板を過大に評価し、本来の運動に抜かりがあったケースもある。
 B 立民と国民は候補者調整などで対応したが、原発問題などをめぐって産業別労組では考え方を異にし、股裂き状態に苦悩する姿が見られ、課題が浮き彫りに。
 D 公明は、政権与党としての連携を強調し、自民現職14人を推薦した。参院選を見据えた戦略だ。温度差はあるが、感謝を示す向きもあり成果と総括できる。
 A いずれにしても新元号のスタートに相応しい清新な地方自治の展開を期待したい。統一選後半戦が告示された。注目されるのは、姫路、芦屋市長選。これを経て参院選へ突入する。定数3に現職新人5人が争う。県議選・神戸市議選の結果から混戦の度を増したのは確かだ。

県議選・神戸市議選開票結果