<阪神・淡路大震災から24年 平成最後の1月17日>
経験、教訓を次なる時代に

2019.01.17

 阪神・淡路大震災から24年、災害が多発した平成最後の1月17日。犠牲者に哀悼の誠を捧げる「1・17のつどい」が行われた。井戸知事は、激甚化する大雨や台風、南海トラフ地震、首都直下地震など国難級の災害発生とともに、震災の経験、教訓の風化を懸念し、「平成の終わりとともに大災害時代が終わるわけではない。阪神・淡路大震災の体験、経験、教訓を『忘れない』『伝える』『活かす』『備える』を基本に対策を行わなければならない」と、次なる時代に向けて防災・減災社会に向けた努力を積み重ねていくことを誓った。
 17日未明。南海トラフ地震を想定した県幹部職員らによる災害対策本部員緊急参集訓練が実施された。交通機関が動き始める前に登庁するための手順を確認するねらい。
 午前5時20分、県庁北側の災害対策センターに本部員全員が揃い、それぞれが登庁手段を報告した。多くがタクシー利用で、井戸知事は「本番では来れない。本部会議に出席する第1、第2の代理を決め、日ごろから体制を整えておく必要がある」と指示した。
 その後、県庁2号館最上階のみどり展望園に移動し、地震発生時刻の5時46分に黙とう、塔屋の鐘を鳴らし、震災犠牲者に哀悼の誠を捧げた。
 引き続き幹部会議を開催。井戸知事は「来年は震災25年の節目。風化対策に力を入れる1年にする。過去の災害を謙虚に学び、そこから未来を予測、しっかりとした覚悟をもって対応する。24年を機にその気持ちを共有したい」と訓示した。

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 午前8時、県などが主催する「ひょうご安全の日のつどい」の構成事業の一つ「1・17ひょうごメモリアルウォーク」が東西15㌔コースを皮切りにスタート。東西6コースなどに、約3千人が参加した。
 復興した街並みや震災モニュメントを巡りながら、24年前を追体験した。井戸知事も須磨海浜公園からの西15㌔コースの列に加わり、甚大な被害を受けた長田のまちなどを歩いた。
 午前11時50分、ウォークのゴール地点HAT神戸の人と防災未来センター慰霊のモニュメント前で「1・17のつどい」が開かれ、約2、100人が出席した。
 松本隆弘県会議長が「震災から学んだ教訓をいつまでも忘れることなく、防災力の強化に努める」と開会の言葉を述べ、正午に全員で黙とうを捧げた。
 続いて、井戸知事が「次々と大きな地震が日本列島を襲っている。まさに大災害時代に入った。地震や風水害のたびに想定外、数十年に一度といわれるが、こうした想定外をなくす万全の備えが必要」と求めた。その上で、災害の備えから復旧・復興までを担う専門機関「防災庁」創設の必要性を強調した。
 さらに、「想定外の事態に直面しても戸惑うことなく対応できるよう、県民一体となって安全安心なふるさと兵庫の実現に向けて全力で取り組む」と決意を新たにした。
 小・中・高校生の代表3人は、「人と人との絆を強くしていくことこそが、防災や減災につながる」「地震が起きても地域を守っていける存在になりたい」「被災の記憶を語り継ぐ者として、災害に強い社会をつくる」と誓った。
 小学生が「しあわせ運べるように」を合唱、続いて河田惠昭人と防災未来センター長が「1・17ひょうご安全の日宣言」を読み上げた。「新しい時代を再び災害で特徴づけてはいけない。日常防災を豊かにして安全安心社会に向かうのだ。震災の教訓は、すべての時代に通じる知恵だから」と、被災地からのメッセージを発信した。
 HAT神戸のなぎさ公園では、防災・減災に関する展示やステージ、県外の被災地を応援するブースの設置などをはじめ、体験型の防災訓練などが行われた。