<県会政調会長会が政策法務研修>
「質問力」高めて政策実現

2018.11.05

 県議会各会派政調会長会主催の政策法務研修会が10月29日午後、県庁3号館大会議室で開かれ、「『質問力』でつくる政策議会」をテーマに龍谷大学政策学部の土山希美枝教授が一般質問の意義、その機能を一層発揮するための手法を解説した。議会改革の一環として、政策提言機能の強化を図るため、全議員を対象に昨年度から実施している。
 開会あいさつで、松本隆弘議長は「平成27年度以降、議員提案による3つの政策条例を制定したが、条例制定が目的ではなく、ねらいは各地域の住民の声をしっかり実現することにある。政策実現への質問力を高めるため、研修成果を生かしてもらいたい」と呼びかけた。
 続いての講義で土山教授は、自治体の役割について「住民が必要とする最低不可欠な政策・制度を整備するための機構。それ以上は市民セクターの役割で、自治体が行うと税金の無駄使いになる」と定義づけた。「政策・制度には正解はないが、決めないといけない。決断する権限が議会にある」と責務を示した。
 「政策・制度の争点提起が一般質問」とし、「残念な質問、もったいない質問」例を挙げながら、「現場を重視した論点を整理し、現状を分析、主張をまとめる」と質問の基本構造を説明した。
 その上で、「質問力」とは、「情報収集、争点の気づき、分析、説明、議論する力による総合的政策力」と強調し、「一般質問を一人のもので終わらせず、議員間、県民との共有を」と求めた。
 そして、「我がまちの政策・制度が議会の決断によって、より良い状態になっていると思われることが信頼につながる」と訴えた。
 この後、「議会の評価手法」「少数派意見の実現」などの質問に対し、土山教授は「褒められる評価もあってよい」「会派を超えて理解者を増やす。県民の問題として根拠づけることが基本」と答え、「議会が県民の声を実現する場であることを、いかに理解してもらえるかが重要」と積極的な広報を呼びかけた。

「残念な質問、もったいない質問」例
○公表数字を確認するだけ
○論点を入れすぎてぼけてしまっている
○一般質問としては個別的すぎる
○合理的な根拠や論拠のない批判
○自身の政治信条の演説に終始している
○一問一答のやりとりを続けるうちに混乱