<関西広域連合が被災3県の復旧協力>
西日本豪雨 カウンターパート支援

2018.07.16

 西日本各地で甚大な被害をもたらした豪雨。兵庫県内では2人が亡くなり、住宅被害は全壊5棟、半壊5棟、一部損壊22棟、床上浸水100棟、床下浸水541棟、379件の土砂崩れが発生した。井戸知事は11日午前、土砂崩れで1人が亡くなった宍粟市の被災現場を視察、福元晶三市長、春名哲夫県議から被害状況の説明を受けた。その日の午後、会見を開き、「実態を踏まえた上で、支援策を検討する。施策を実施するとすれば今月中に目処をつける」と方針を語った。
 関西広域連合では9日、災害対策支援調整会議を開き、岡山、広島、愛媛の3県に対し、カウンターパート方式で支援することを決めた。同日、井戸連合長は「家屋被害認定や災害ボランティアなど、当面考えられる支援を準備が整い次第、直ちに必要な人材を派遣する。阪神・淡路大震災を経験した兵庫・関西として、被災地の一日も早い復旧・ 復興に向け、支援協力する」とのコメントを発表した。
 県は5日午前、災害警戒本部を設置、県民局・県民センターでも地方本部が順次設けられた。6、7日には知事、副知事出席による同本部会議を開き対応に当たった。
 8日、岡山県庁からの要請を受け、DMAT(災害時派遣医療チーム)を派遣、計9チーム45人が倉敷市で患者搬送や避難所スクリーニング、本部業務等の支援を行った。
 関西広域連合は5日に対策準備室、6日に災害警戒本部、8日、岡山、愛媛県に鳥取、徳島県職員を先遣隊として派遣。9日、井戸連合長を本部長とする災害対策支援本部を設置、先遣隊として徳島県職員を高知県へ、災害マネジメント総括支援員として兵庫、徳島県職員を広島県呉市、愛媛県宇和島市に派遣した。
 9日午後、構成府県市の資源を有効活用し、迅速・効果的かつ継続的な支援を実施するため、カウンターパート方式で対応することを決めた。兵庫、鳥取県は岡山県、大阪府、滋賀、和歌山県は広島県、奈良、徳島県は愛媛県を担当する。
 ボランティア支援では、9日、県社会福祉協議会に災害救援本部、ひょうごボランタリープラザに災害救援ボランティア支援センターを設けた。同プラザの高橋守雄所長ら先遣隊がカウンターパート先の岡山県高梁、総社、 倉敷市の被災地に入り、支援ニーズを調査した。
 結果を踏まえ14日、第1陣の約30人が総社市下原地区で支援活動、今後、継続して岡山県を中心にボランティアを派遣する。
 11日、宍粟市入りした井戸知事は、床上浸水の被害を受けた同市一宮町の河原田地区、土砂崩れが発生した公文地区小原集落などを視察した。
 河原田地区では、土砂が流入した工場の経営者から状況説明を受けた。公民館に住民が避難していたが、河川の水位が上がり、危険が迫ってきたので、消防団が急きょ、住民を高台に避難させ、間一髪の危機を乗り越えたという。
 この日午後の会見で井戸知事は、「国の支援法でカバーできるところはカバーしてもらい、県としては、その上で出来ることを検討する」との見解を説明した。
 また、農作物・農業関係施設の被害が現時点で24億6870万円にのぼることを明らかにし、「農業施設等の被害は、補助制度に乗らない場合がある。過去の被害での対応事例とのバランスを考え、対応したい」と述べた。
 今後の豪雨災害への対応については、「平成16年の台風23号による被害以来、災害に強い森づくりを進めてきた。山が荒れたり、間伐材の放置が被害を大きくする。山の管理の徹底と渓谷の治山ダム、砂防ダムの整備の必要性が高いところをチェックする」との方針を示した。
 その上で、「もの凄い土砂が流出した状況ではないが、結果として宍粟市では被害を受けた。砂防ダムと治山ダムの組み合わせによる谷対策を強化したい」との意向を語った。