<県・市町の規制見直し 改革推進会議が初会合>
「規制」「緩和」—判断基準めぐり多様な意見

2018.05.21

 県および県内市町が条例などで独自に設けている規制を見直す必要性などを協議・検証する県規制改革推進会議の初会合が18日午前、県庁で開かれた。社会構造や経済情勢の変化に対応できず、地域活性化の支障となっている事例を掘り起こそうと県が設置した。人口減少下でも活力のある地域づくりにつなぐねらい。学識者ら計6人で構成し、金澤副知事と県市長会、県町村会両会長がオブザーバーを務める。この日の第1回会議では、「地域創生」と「県民目線」の両立など、見直しの判断基準をめぐりさまざまな意見を交わした。
 冒頭、オブザーバーの金澤副知事が「地方自治や、人口減少下への対応、技術革新を活用したまちづくりなどを進める中、規制が時代の要請に合わない事例が出てきている。県民活動がより活発なものとなるよう、気付きや意見を積極的に寄せてほしい」と求めた。
 続く議事では、会議の設置要綱を承認し、委員長に神戸大学大学院の中川丈久教授を選任した。中川委員長は「規制の見直しに取り組む自治体は少ない」と先導的な試みに期待を寄せた。
 事務局による他県の取組状況などの説明に続く討論で、県市長会会長の藤原保幸伊丹市長は「『企業目線に立つと緩和すべきだが、県民目線に立つと維持すべき』など価値観がぶつかるところの判断が難しい」とあい路を指摘した。
 これに関し、学校法人和弘学園理事の中後和子委員は「民泊トラブルの予防など規制に守られているものもある。やみくもに緩和を推奨するのではなく、地域や活動が良いものとなることを考えるべき」と短絡的な議論を戒め、連合兵庫会長の辻芳治委員は「公正公平の視点が大事」と訴えた。
 金澤副知事は「一県民の立場で率直に議論いただいた上で、『こう考えるべき』との価値基準を示してほしい。県、市、町はそれをもとに判断する」と方針を伝えた。
 また、藤原市長会会長が「現行の規制は目的をもって定められた。だからこそ、担当部局は改革に消極的になるのでは」と懸念すると、山口企画県民部長は「県政の最重点課題である地域創生の拠り所となるよう、共通認識を図る」と述べた。
 このほか、「見直し後の検証も実施すべき」との意見が出されたほか、「規制を増やすことも排除しない」ことなどが確認された。
 今後、県、市町、企業、団体などから6月上旬まで募集している提案をもとに協議・検証し、所管団体への助言などを記した報告書を11月中を目安にまとめることにしている。
 会議について、井戸知事は21日の定例会見で、「我々の気づかない規制が、民間の皆さんに迷惑をかけたり、活動を縛ったりしている事例があるとすれば、それを俎上に上げて検討していただきたい。その過程で方向づけを示していただければ」とコメントした。