<第339回定例県議会開会・30年度予算案上程>
行革総仕上げ、収支均衡達成

2018.02.28

提案説明に立つ井戸知事

 第5期井戸県政最初の予算編成となり、平成20年度から取り組んできた行財政構造改革推進方策(行革プラン)の最終年度となる平成30年度県当初予算案が16日に開会した第339回定例県議会に上程された。一般会計1兆8、880億円(対前年度比0・8%減)、特別会計等を合わせた総額で3兆7、138億円(同15・8%増)にのぼる。目標とする収支均衡に目途をつけるとともに、県政150周年記念事業の展開、地域創生の本格化を重点に編成された。提案説明に立った井戸知事は「行財政構造改革の総仕上げに向けた歳入歳出改革により、前年度まで生じていた収支不足を解消し、目標の収支均衡を図ることができた。今こそ未来への扉を開こう」と呼びかけた。

 提案説明で井戸知事は、「世界は大転換期を迎えている。振り返ると150年前の明治維新に計画も設計図もなかった。今、時代を変える志士となるのは若者をはじめ、今を生きる私たち。既存の枠組みを超える新たな発想で乗り越えて行かなければならない」と認識を示した。
 「兵庫150年の歴史には常に、激しい変化の中でも明るい未来を願い、奮闘してきた人々の姿がある」と振り返り、「参画と協働の基本姿勢に立ち返り、安全安心の基盤の上に、県民が望む生き方、働き方ができる地域をつくる、これこそ兵庫の新時代を拓く道筋」と県民主役を強調した。
 その上で、「次代を担う人づくり」「元気な地域づくり」など5つの柱にそって平成30年度の主な施策を説明した。
 最後に昨年ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロの受賞記念講演の言葉「不確実な未来に重要な役割を担おうとするなら、我々はより多様でなければならない」を紹介。
 「兵庫は多様性の宝庫。この強みを活かすことこそ進むべき道。地域の個性を伸ばし、活かすのは一人ひとりの県民の力。新しい兵庫をともにつくっていこう」と訴えた。
 また、1日に成立した国の補正予算を踏まえ、産業競争力の強化など経済活性化対策を中心にした総額353億8、400万円の29年度補正予算案を上程。質疑等の結果、原案通り可決された。

代表質問
一般質問1-2日目
一般質問3-4日目

 総額では国民健康保険が県に移管されることにともない新たに国民健康保険特別会計(5、085億円)を創設したため、前年度比5、078億円(15・8%)上回る規模となった。
 歳入のうち県税等では、内需の回復基調を反映した地方消費税の増により、前年度を56億円(0・7%)上回る8、049億円を計上。
 また、既に役割を終えている基金を廃止し、喫緊の課題である地域創生戦略の推進のため152億円規模の地域創生基金、県有施設等の老朽化に対応するため186億円規模の県有施設等整備基金を創設した。
 歳出のうち人件費は、前年度を11億円(0・3%)上回る4、685億円。定員は行革プランに基づき一般行政部門で133人を削減、19年度比で目標とする30%カット(2、484人減)となった。一般職員の給料減額も解消し、管理職も役職に応じて縮小した。
 県政150周年記念事業には、ハード・関連事業14億円を含む25億円を計上した。地域創生推進交付金事業は新たに「地域産業成長力強化プロジェクト」など5つのプロジェクトを追加し、全体として18プロジェクトを実施するため、前年度を2億円上回る30億円を充てた。
 市町や地域自らの創意工夫による地域創生の取り組みを支援する「ひょうご地域創生交付金」には、総枠40億円のうち県負担分の20億円を計上し、国の交付金への申請を優先した上で、対象外となった事業も対象とすることにした。
 投資的経費では、山地防災・土砂災害対策、緊急防災・減災事業、長寿命化・環境整備対策の事業推進を図るために必要な事業費175億円を別枠で確保した。
 事務事業の見直しの結果、29年度から180事業を廃止する一方、県民ニーズに対応した92事業を加え、前年度から5・2%減となる1、612事業を盛り込んだ。
 財政フレームでは、収支均衡するとともに、実質公債費比率は14・5%、臨時財政対策債、補正予算債などを除く県債残高は79・1%、震災関連県債残高を除く将来負担比率は246・9%で、各指標ともに概ね30年度の目標を達成する見通し。
 予算案を発表した井戸知事は、行革プラン終了後、31年度以降の財政運営について、「震災復興関連の1兆3千億円の残り3千6百億円の償還と行革債などの償還約4千億、合わせて7千6百億から7千7百億くらいの他県にない特別な償還努力がいる」とし、「31年度以降の財政運営に一定の枠組みをセットする必要がある。県民が安心できる枠組みで予算編成を毎年続けるため、次の予算編成までに財政運営の一定の基準化を図りたい」との考えを示した。