<関西広域連合が第1回フォローアップ委員会>
広域計画など検証、課題を提言

2018.01.31

 関西広域連合(8府県4政令市、連合長=井戸敏三兵庫県知事)は、有識者ら第3者によるチェック機関として「広域計画等フォローアップ委員会」を設置、第1回委員会が1月31日午後、大阪市内で開かれた。委員21人で構成し、第3期広域計画及び関西創生戦略の達成状況の評価・検証と、第4期広域計画の策定を視野に入れた今後の広域連合の取り組むべき課題などについて検討、指導・助言する。第1回委員会には委員13人が出席し、座長に御厨貴ひょうご震災記念21世紀研究機構研究戦略センター長、副座長に飯尾潤・政策研究大学院大学教授を選出した。
 開会あいさつで広域連合本部事務局の中塚則男事務局長が設立趣旨などを説明し、「関西全体の責任主体として取り組んでいる。進捗状況についての指摘、指導に加え、ここが足りないといった提言を」と闊達な意見を求めた=写真。
 意見交換では、まず、北村裕明・滋賀大学教授が「関西は都市と農山村のバランスが非常に良い」と特徴を挙げ、「中山間地域へのIターンなど先進的な動きがある。市町村の分権を支える観点からも都市と農山村との交流など新しい課題に重点を」と要請した。
 さらに、農林水産業振興の観点から衣笠愛之・株式会社兵庫大地の会代表取締役が、「農産物の認証基準の統一」とともに「米の研究は滋賀が専門に行うなど各府県で試験研究の担当部門を設定する。競い合いながらも協力することが大切。職員交流も促進すべき」と提案した。
 また、人的ネットワークや情報共有の強化を求める声も多く、「成功事例をどう広域で応用できるか検討」(加渡いづみ・四国大学短期大学部教授)、「府県を越えて地域住民が顔と顔が見える関係づくりをサポートする」(山口美知子・東近江三方よし基金事務局員)といった意見があった。
 観光振興では、坂上英彦・嵯峨美術大学教授が「関西全体で観光税導入の検討」を求めた上で、「外国人観光客が帰国後、関西のモノを購入する、観光を輸出につなげることが次のテーマ」と指摘した。
 梅原利之・四国旅客鉄道株式会社顧問は、「新幹線網の整備が決定的に遅れている。北陸新幹線が金沢で止まっているのは関西の怠慢。関西は東京から九州に行く中間点に過ぎない」とし、「国は四国新幹線の調査費をつけた。8府県だけでなくもっと広い視野でインフラ整備を考えることが重要」と強調した。
 最後に御厨座長が総括し、「設立から7年が経過し、関西広域連合も歴史を持ってしまった。歴史に左右され、束縛されることになる。そのことから解放する時」と方向性を示した。
 今後、小委員会で議論を深め、新年度上半期に第2回委員会を開催、下半期に中間まとめを行うことにした。