<阪神・淡路大震災から23年 ひょうご安全の日のつどい>
未来に備え、経験と教訓を次代に

2018.01.17

1.17のつどい会場の献花台には終日、多世代が訪れ、鎮魂の祈りを捧げた

 1月17日。阪神・淡路大震災から23年の日。そぼ降る雨の中、鎮魂の朝を迎えた。井戸知事は「あれから23年。いつまでも復旧復興のステージに止まっていられない。県政150周年の節目の年だからこそ、新たなステージへのスタートにしたい」と幹部職員に訓示。県などが主催する「ひょうご安全の日のつどい」では、南海トラフ地震など国難ともいえる巨大災害の危機が迫っていることを強調し、「未来に備えるため、阪神・淡路大震災の悲しみを決して風化させてはならない。震災から得た経験と教訓を次世代へ伝え、安全安心な社会づくりに活かすことこそ、被災地兵庫の大きな使命」と誓った。
 地震発生時刻の午前5時46分、県庁では井戸知事をはじめ県幹部が黙とう、塔屋の鐘を鳴らし、震災犠牲者に哀悼の誠を捧げた。引き続き幹部会議を開き、井戸知事は「安全安心の基盤の上に明日を切り拓く。その先頭に立ってもらいたい」と求めた。
 午前8時、ひょうご安全の日のつどいの構成事業の一つ「1・17ひょうごメモリアルウォーク」が東西15㌔コースを皮切りにスタート。東西6コースなどで実施された。
 雨は降り続き、参加者は傘をさして、それぞれの「1・17」を胸に復興した街並みや震災モニュメントを巡り、23年前を追体験した。
 午前11時50分、ウォークのゴール地点HAT神戸の人と防災未来センター慰霊のモニュメント前で「1・17のつどい」が開かれた。
 黒川治県会議長が「教訓をいつまでも忘れることなく、防災力の強化に努め、経験を活かして安全安心な兵庫づくりに取り組む」と開会の言葉を述べ、正午に全員で黙とうを捧げた。
 主催者を代表して井戸知事が「悲しみの中から心を奮い立たせる中で、ともに立ち上がろうとする人々の活力が生まれた。積み重ねてきた復旧復興の歩みの中に、これからの社会づくりに活かすべき大切なものが凝縮されている」と県民の努力を称え、さらなる前進に期待を寄せた。
 そして、「『1・17は忘れない』。この言葉を改めて心に刻み、未来への希望に満ちた活力ある社会の実現に向け、県民とともに全力を尽くす」と約束した。
 来賓の山下雄平・内閣府大臣政務官は23年前、佐賀市の中学生だった自らの経験を振り返りつつ、「防災は国家の基本的かつ重要な任務。国民の生命、財産、生活を守り、安心して暮らせる社会の実現に全力を挙げる」と語った。
 続いて、小・中・高校生の代表3人が未来のメッセージを発表した。「諦めない心と絆、命を大切にすること、こうした願いを忘れずに生きていく」「私たちができることは学んだ防災・減災の知識を地域の方々、次の世代に語り継ぐこと。私たちの力でこの素晴らしい神戸を守っていく」「震災を経験した世代、経験をしていない世代の双方が語り継ぎを始め、教訓を未来に残していかなければならない。まずは私自身が語り継ぐ」と決意を語った。
 小学生が「しあわせ運べるように」を合唱したあと、河田惠昭人と防災未来センター長が「日常防災を豊かにして 安全安心社会に向かうのだ」などと「1・17ひょうご安全の日宣言」を読み上げた。
 HAT神戸のなぎさ公園では、県内の大学生、高校生らによる防災・減災展示、東北・熊本被災地を応援するブースの設置や、体験型の防災訓練などが行われた。